生体内での分子間相互作用には、分子構造や濃度、他の分子との状態などが複合的に関係しています。このような複雑な系全体を理解するには、まずは特定の相互作用に着目し、解析を行う必要があります。ビアコア解析は、1対1での生物物理学的相互作用を理解する上で、非常に有効なツールになります。
弊社では、基礎研究で培った高い専門性と幅広い経験を活かした解析技術に加え、Biacore T200の優れたスループットと感度・フレキシビリティーを組み合わせることで、スクリーニングからカイネティクス解析まで様々なご要望にご対応可能です。
高い精度の解析データをご納得の価格と納期でご提供いたします。
ビアコア解析とは
ビアコア解析は標識を一切使用せず、質量変化を検出することでリアルタイムに分子の相互作用をモニタリングすることのできるシステム(SPR解析)です。得られたデータからは、結合速度定数(ka: association rate constant),解離速度定数(kd: dissociation rate constant),解離定数(KD: dissociation constant)などが算出できます。これらの情報は、生体反応を制御するタンパク質間の相互作用、タンパク質とペプチドや低分子等の相互作用を理解するために不可欠な情報となります。
SPR(Surface Plasmon Resonance: 表面プラズモン共鳴)とは金属薄膜表面における自由電子の集団的振動(=表面プラズモン)を励起したときに起こる光学現象です。金属薄膜表面で偏光を全反射するように照射すると、反射光の一部に強度の低下した部分が生じます。これをSPRシグナルと呼びます。SPRシグナルが生じる角度はセンサーチップ上の質量に依存するため、得られるシグナルはセンサーチップ上に固定した分子(リガンド)と添加した分子(アナライト)の結合又は解離により変化します。SPR解析ではこのシグナルの変化を検出することで、センサーチップ上で生じる分子間相互作用をモニタリングすることが可能です。
サービス概要
使用機器
Biacore T200(Cytiva)
最大処理能力 | スクリーニング:400サンプルに1.5日 キャラクタライズ:8相互作用を4時間で処理 |
カイネティックス解析 | 1サンプルのKD値算出まで2時間(シングルカイネティクス) |
連続測定時間 | 48時間の連続測定が可能 |
設置可能なマイクロプレート | 96/384ウェルプレート:1枚 |
サンプル要件
リガンド:センサーチップの金属表面に固定する分子 | 固定する分子の種類によってセンサーチップを選択する必要があり、固定しやすさも異なります。1測定で50 µg/mL以上の濃度で、150 µL以上必要です(2測定の場合、2倍になる訳ではありません)。 |
アナライト:流路系に添加する分子 | 10 µM以上の濃度が必要です(低分子化合物の場合、1 mM以上必要な場合があります)。 |
※測定用のセンサーチップやバッファーは弊社の方でご用意いたします。
納品物
- 試験報告書
- センサーグラム、カイネティクスデータを含みます。
- 試験計画書や試験に関する品質保証をご希望の場合は、オプションでお受けいたします。
価格
測定系のご提案後にお見積りをご提示させていただきます。
お手数ですが、まずはお問い合わせください。
分子間相互作用の解析例
※評価対象によりセンサーチップの種類やセンサーチップに固定する物質の組み合わせを選択する必要があります。精度の高い解析結果を得るには、最適な測定条件の設定が欠かせません。
※お客様の目的に合わせた測定条件をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
- 抗原⇔抗体
- タンパク質⇔タンパク質
- タンパク質⇔ペプチド
- タンパク質⇔低分子化合物
- タンパク質⇔ビオチン化試料
- タンパク質⇔Hisタグ試料