はじめに
シングルセル・トランスクリプトーム・シーケンス( シングルセルRNAシーケンスシングルセル RNA シーケンス (scRNA-seq) は、次世代シーケンス を使用して、特定のサンプルの個々の細胞内の RNA 分子の発現を測定する技術です。 、scRNA-seq)は、最適化された 次世代シーケス (NGS)技術を用いて、与えられたサンプルの個々の細胞内の RNARNA (Ribonucleic acid) はすべての細胞に存在する一本鎖核酸で、窒素塩基とリン酸基に結合したリボース糖であるヌクレオチドで構成されています。 分子の発現を測定する技術です。scRNA-seqはバルク RNAシーケンス次世代シーケンスを用いてサンプル中のRNAの量や配列を調べる技術。 (RNA-seq)とは遺伝子発現の解析方法のスケールと解像度が異なるため、より複雑なデータ解析ワークフローを伴います。バルクRNA-seqは通常、異なる条件のサンプルを比較するために使用されるのに対し、scRNA-seqは細胞タイプ間の差異を比較したり、細胞タイプを同定したりするために使用されます(Malhotra et al.、2022)。 このテクニカルノートでは、バルクRNA-seqとscRNA-seqの違いとその用途について説明します。
バルクRNA-seqとscRNA-seqの違い
バルクRNA-seqがサンプル中の全細胞の平均遺伝子発現を測定するのに対し、scRNA-seqは組織サンプル中の個々の細胞のトランスクリプトームをプロファイリングします(Chaudhry et al.、2019)。 表1は、バルクRNA-seqとscRNA-seqの違いをまとめたものです。
バルクRNA-seqは、サンプル中の全細胞からRNAを抽出し、RNAを cDNAcDNA (complementary DNA) は、RNA 分子を鋳型として逆転写によって合成される DNA 配列です。 に逆転写RNAテンプレートからDNAを合成するプロセス。し、cDNA末端に配列決定 アダプター他の DNA または RNA 分子の末端に連結できる、化学合成された短い一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチド。 を付加し、増幅し、配列決定します(Chaudhry et al.、2019)。 この方法は、実験条件間でリード数や発現量に有意差を示す遺伝子、すなわち差次的発現遺伝子(Differentially expressed genes、DEG)を同定するのに有用です(Anjum et al.、2016)。 しかし、バルクRNA-seqは、集団内の個々の細胞間の遺伝子発現の違いを区別することができず、稀な細胞集団、転写の違いの追跡、または遺伝子発現の経時的な違いがマスクされてしまい検出できない可能性があります(Chaudhry et al.、2019)。
バルクRNA-seqと比較すると、scRNA-seqでは、通常カプセル化またはフローサイトメトリーによって単一細胞を分離し、RNAを捕捉し、RNAをcDNAに逆転写し、 ライブラリーNGSを行う場合に創るやつ。 を調製し、その後シーケンスします。この方法はハイスループットかつ高分解能のアプローチであり、研究者は細胞の種類、状態、亜集団を同定することができます。各細胞型はそれぞれ異なる発現プロファイルを持つため、scRNA-seqは、バルクRNA-seqデータではマスクされる可能性のある細胞の不均一性や希少細胞集団を明らかにするのにも有用です(Chaudhry et al.、2019)。
表1. バルクRNA-seqとscRNA-seqの違いのまとめ。
1Chaudhry et al. (2019).
2Unique molecular identifiers (UMI)は、PCR増幅工程の前に、サンプルライブラリー中の各核酸を一意にタグ付けする分子バーコードとして機能する短い配列です。UMIを用いることで、オリジナルサンプルに存在するバリアントアレル(真のバリアント)を、ライブラリー調製、ターゲット濃縮、シーケンス中に生じたエラーと区別することができます。したがって、UMIはバイオインフォマティクスソフトウェアのエラー修正やシーケンス時の精度向上に有用です(Illumina、2023)。
3スパイクインは、RNA-seqワークフロー中のキャリブレーションのためにサンプルに加えられる、同一性と濃度が既知の合成核酸配列です(Wong et al.、2017)。
4Sampled (2023).
5Novogene (2011).
6Kolodziejczyk et al. (2015).
Basepairは、FASTQやBAMなど生データをアップロードして、パイプラインを選択するだけの簡単操作でバルクRNA-Seq、シングルセルRNA-Seqのデータ解析が可能です。多サンプルのグループ間比較も簡単です。Seuratなども実装済みです。
参考文献
Anjum, A., Jaggi, S., Varghese, E., et al. (2016). Identification of differentially expressed genes in RNA-seq data of Arabidopsis thaliana: A compound distribution approach. J Comput Biol, 23(4): 239-47. doi: 10.1089/cmb.2015.0205. https://doi.org/10.1089/cmb.2015.0205
Chaudhry, F., Isherwood, J., Bawa, T., et al. (2019). Single-Cell RNA sequencing of the cardiovascular system: New looks for old diseases. Front Cardiovasc Med, 10;6: 173. doi: 10.3389/fcvm.2019.00173. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6914766/
Illumina (2023). What are unique molecular identifiers?. Illumina, Inc. https://www.illumina.com/techniques/sequencing/ngs-library-prep/multiplexing/unique-molecular-identifiers.html
Kolodziejczyk, A. A., Kim, J. K., Svensson, V., et al. (2015). The technology and biology of single-cell RNA sequencing. Mol Cell, 58(4): 610-620. doi: 10.1016/j.molcel.2015.04.005.http://dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2015.04.005
Malhotra, A., Das, S., Rai, S. N. (2022). Analysis of single-cell RNA sequencing data: a step-by-step guide. J Biomed, 2(1): 43-61. https://doi.org/10.3390/biomedinformatics2010003
NIH. (2023). Alternative splicing. NIH National Human Genome Research Institute. https://www.genome.gov/genetics-glossary/Alternative-Splicing
Novogene. (2011). Introduction to single cell sequencing. Novogene Co., Ltd. https://www.novogene.com/us-en/services/research-services/transcriptome-sequencing/single-cell-sequencing/#
Sampled (2023). Bulk RNA sequencing vs. single cell RNA sequencing- what’s the difference between these powerful techniques?. Sampled. https://sampled.com/bulk-rna-sequencing-vs-single-cell-rna-sequencing/
Wong, T., Deveson, I. W., Hardwick, S.A. et al. (2017). ANAQUIN: a software toolkit for the analysis of spike-in controls for next generation sequencing. Bioinformatics, 33(11): 1723-1724. doi: 10.1093/bioinformatics/btx038. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28130232/